合同練習による化学変化

10月にこども陸上クラブホップは1周年を迎えました。ここまでやってこれたのも皆さんのおかげだと思っています。

ここ半年くらいで、メンバーはグググっと増え、最初は1対1で指導していたクラスも大変賑やかになりました。
人が増えるということはそれだけ、コーチの目が行き届かず、よくないと思われる方も多いと思います。私も人数が増えることのデメリットばかり考えていました。
実際は導入コースであれば下は幼稚園児から上は小学5年生までいるクラスもあり、様々な年のこども達がいるからこその「おもしろいこと」が起き、時にはけんかもありますが、その度にこどもたちはお互い気づくことがあったのだと、その後の行動をみていると感じます。

先日、砺波陸上競技場にて合同練習会を行いました。毎回、合同練習会には10名から20名の参加があります。今回は走り高跳びを行ったのですが、人数分のマットがあるわけではなく、みんなで並んで声を掛け合いながら高さを変えて練習するしかありません。中には「おまえばっかりずるいぞ!」なんて、冷たいことを言っちゃう子もいました。

(少し話はずれますが)こういう言葉を言っちゃう子をよくない!と叱ることももちろんあるのですが10回言っていたら2回程度で、できるだけ様子を見るようにしています。言葉遣いはそれぞれ傾向はあるようで、この子はわりと強い口調で言っちゃう子のようです。私的には、そんな子でもクラブにいてほしいと考えます。チームスポーツなら、「協調性がない」ということでクラブから出て行ってもらうなんてこともあるのかもしれませんが、陸上競技は基本的には個人競技なので結局は全て自分に返ってくるスポーツだからです。
協調性がないと言われる選手でも、人の何倍も練習したり、人から言われたことよりも自分の感覚を第一にひたむきに競技ができる選手は必ず強くなれます。実際にはある程度のレベルまでいくと客観的な意見を取り入れなければならなくなりますが、その時に自分を変えられる選手はまた、その上のレベルにいくことができます。
どちらかというと陸上競技で記録が伸びない選手は、人と比べることばかり、、しかも、表面的なことばかりを比べてしまい、自分と向き合えない選手だと思います。
小学生にもたまにそういう子はいます。「◯◯ちゃんにまた負けた」「◯◯くんに勝った!」勝ち負けはとても大切なことではありますが、結果は結果であって、そこまでの過程や、なぜこのような結果になったのかを見ることの方が大切です。

(話を戻します)何度か、その子が強い口調で誰かを非難していた時、その後ろに並んでいた、いつもは別のクラスの子が「そういう言い方はよくないよ」と注意したのです。あとから注意した子と私の2人で話をしてみると「ちょっと、怖い言い方をしていたから注意した。注意することもちょっと怖かった」と話していました。だいぶ、勇気が要ることだったでしょう。

また別の通常練習で、注意された子をみているとたまたま、走っている途中に肩が他の子にぶつかってしまいました。その時その子は「ごめん。大丈夫だった?」と一緒に練習する仲間を気遣っていました。

今回の合同練習会を含めて、様々なイベントを年間で計画していますがイベント参加後こどもたちは大小はあるものの化学変化を起こします。

「初めてあった◯◯くんとまた一緒に走りたい。そのためにもっと練習を頑張ろう」

「同い年の◯◯ちゃんがとても上手だった。負けてられない」

短い期間で見るとけんかをしたり、すごく緊張していつもの動きができなかったりとよくないように見えることもきっと心に焼き付いて、自分を成長させてくれるきっかけになるのではないかと考えています。

こども陸上クラブホップでは十人十色は当たり前と思って指導するよう心がけています。早く走るためのヒントはあっても答えはないはず。みんなが自分なりに意見を持てるクラブにしたいと思っています。